PATRON 16




「で、なんだっけ?」



てっきり一緒に話を聞いてくれると思ったのに
シンさんはマンションの地下駐車場で
俺たちを下ろすと、そのまま帰ってしまった。

俺はなんとなく不機嫌そうなユノさんと共に
部屋に入り、
キッチンでコーヒーをゆーっくり入れて
意を決して
ソファに座るユノさんの前に座った…んだけど
すでに逃げ出したい。

ユノさん、普段ニコニコ穏やかだから
たまに見る不機嫌な時って本当に怖いんだよ。



「ここからだと大学もアルバイト先も
乗り換えなしでいけるだろ。

なんで出ていく必要があんの?」




「いや、あの利便性の問題じゃなくて。」


「じゃあなに?」


「俺、学費だけじゃなくて食費とか光熱費とか
全部出してもらってて、しかもユノさんも
シンさんももう着ないとか言って服とか鞄まで
くださるし、使うところあんまりなくて
アルバイト代貯めてて。

やっと敷金礼金と数ヶ月分の家賃分が
貯まったんです。
大学の近くの安いアパートなら借りられそう
なんです。だから…」


「アパート?
何それ、セキュリティちゃんとしてるの?
何階建ての何階に住むの?」



「え?
いや、まだ候補を絞り切れてないんですけど、
せ、セキュリティ?
玄関に鍵はついてますけど…」





「ダメだって、そんなとこ。

それになんでここから出ていきたいのか、
全然わかんない。
そこが知りたいんだけど。」


「だって」


「だって何?」
  


もう、ユノさんのわからずや!



「ここはユノさんちじゃないですかっ!

ユノさん俺のせいでずっとホテル暮らしで
お仕事すごくお忙しいのに休まらないでしょう?

誰だって自分の家が1番落ち着くはずです。


ユノさんがずっとホテル暮らしされてるのが
嫌なんですっ!」



思わず感情的になってしまい、下を向く。




「なんだ、そんなことか。

ここが嫌になったわけじゃないんだな。」


あ、なんか声が柔らかくなった?


「嫌だなんて…そんなわけないです。」

実を言うと、キッチンなんかは
俺の使いやすいように色々揃えたりしてる。

俺が唯一お金を使ったのはキッチングッズ
だと言ってもいいくらいだ。





「じゃあ、俺もここに住むよ。
それでいいだろ?」





「え?」


「ほとんどここに置いてるし、
明日からこっちに帰ってくるな?

あ、ベッドどうしよう?
もう一つあの部屋に入るかな?」



「あ、俺…いつもここで寝てるので…」


「は?
なんだよ、そんなの聞いてない。
ちゃんとベッドで寝なきゃダメだろ!
お前っ1年も…

わかった。
とりあえず週末までには整えるから。


今日から絶対ベッドで寝ろよ?
わかったな?」


ユノさんはおそらくシンさんに
電話をかけながら
慌ただしく帰っていった。





驚きすぎて現実が受け止めきれない。
でも明日も学校だし一限からだし
早く寝ないとって体だけは動かして、
いつもの通り、
その夜もやっぱりソファで眠った。







よろしくお願いします。
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コメント

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ス○○○さま

Miiiii
社長の家のソファ、めっちゃ大きいってことに
しておいてくださいっ(*´艸`*)
もしかしたら肌寂しい夜はこっそりベッドに潜り込んで、
翌朝我に返って慌ててシーツ洗濯してたかもしれません。
読んでくださってありがとうございます(^。^)
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