PATRON 23


「チャンミン?」






卒業が迫ったある日、
俺はユノさんに呼ばれて
ユノさんのお店の中では比較的カジュアルな、
若者向けの店舗に出向いた。


すでに個室にいると聞いていたから
顔見知りの従業員の方に軽く会釈して
奥の方へ進もうと思ったら、
名前を呼ばれた。




「あ…え、ヒョンミン?」





「お前っ!!
心配したんだぞっ!」


少し大きな声に
店内の客がチラッと
こちらをみたような気がした。




声の主は、
俺が借金を背負って姿を消すまで
同じ大学の同じ学部で
いつも一緒にいた友達だった。



当時から、
他の奴がギャーギャー騒いでいても
同じように騒ぐことはなく、
それをケラケラ笑ってみているような
少し大人びていた彼だったけど、
すっかりスーツの似合う社会人になっていた。


そんな彼に似合わない大きな声だったから、
一瞬たじろいだ。

こんな大きな声出すヒョンミン初めて見た…



「うん…ごめん。」



「………いや、
俺の方こそデカイ声出して悪かった。

とにかく元気そうでよかったよ。
今何してんの。」




「…大学に復学したんだ。
もうすぐ卒業だよ。」




「そっか。
ごめん、俺今さ、会社の先輩と来てるから
あんま話す時間ないんだ。

携帯は?

LINE交換しようぜ。」


ヒョンミンの背中越しにこちらを気にしている
7、8人のグループが見えた。



「あ、えっと…ごめん、今日忘れて…」


ユノさんに与えられた携帯に勝手な連絡先を
追加することをなんとなく躊躇した。



「は?なんだよそれ。

あーじゃあこれ、俺の名刺。
会社のアドレスしかないけど連絡して。


またな。」






俺がハマってしまったホストは、実は…
ヒョンミンに似ていた。

ヒョンミンは、
当時の俺の密かな想い人だったから。



大教室の隣の席で授業を受けている時に
眠ってしまった彼の寝顔を
ずっと見つめていたことを思い出す。





ますますカッコ良くなってたな、
まぁ、ユノさんには負けるけど。



会社の先輩たちの輪に慌てて戻っていく
ヒョンミンを見つめながら
そんなことを考えた。




もらった名刺に目を落とすと
名の知れた会社のシステムエンジニアに
なったようだった。




もちろん、連絡はしない。

でもなんだか懐かしくて温かい気持ちになった。




しばらくその場に佇んでいたけど、
個室にユノさんを待たせていたことを思い出し、
奥に進もうとして、ようやく気づいた。




個室にいるはずのユノさんが
真っ直ぐ俺のことを見ていた。





よろしくお願いします。
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コメント

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h○○○○○○○さま

Miiiii
こちらこそありがとうございます。
普段から引きこもりですが、
ゴールデンウィークに引きこもりすぎて
妄想が進みましたw
社長が一部始終見てたなんてニヤニヤしますよね←

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