最後に笑うのは 8




高3の夏休みなんて
夏期講習とか勉強漬けのイメージだったけど、
そこは付属校。

もちろん塾の夏期講習も申し込んでるし、
希望学部判定に大きく関わる
休み明けのテストのため勉強もする。
でも、
隣のヒョンと1日中ゲームをする約束もあるし、
ばぁちゃんの家にも顔を出す予定。



ユノとも終業式の日に、約束した。
少し遠いけど大きな本屋まで一緒に行こうって。


表向きは参考書選びだけど、
大きなショッピングモールがすぐ隣にあるから…
たまにはいいよね?













約束当日、
待ち合わせた車両に乗り込んできたユノは、
至って普通のTシャツに
ハーフパンツ姿だったけど
被ってるキャップがユノの小さな頭に
似合いすぎてて、
俺は一生ユノの隣で帽子は被らないと決めた。



大きなターミナル駅で降りて
改札を抜けて右側に本屋、
左側はショッピングモールだ。



「まーまずは本屋だよな。」 


ユノが右側を指差す。


「うん、そうだよね。

でもさ、
あっちのモールに大きなゲーセンあるんだ!
俺そこも行きたい!」



「チャンミンは絶対そう言うと思った笑

でも、まずは本屋な?」



「わ、わかってるって…」



子供みたいにはしゃいでしまって
恥ずかしいけど、
昨日までの夏期講習でガリガリに削られたHPを
回復して帰らないと。








「うわ…参考書コーナーだけでこの面積…
すごいね。」


「うん、近くに予備校あるからかな。
需要ありそうだ。」


本屋に入り、
ひんやりした空気にホッとしながら
ひそひそ声で話す。

それぞれ苦手科目の参考書を探すため、
ユノとは一旦別行動だ。





あ…これ塾で紹介されてたやつだ。

色々ありすぎて目移りしながらも
気になるものを見つけて、
手に取ってパラパラと眺めている時だった。









「ソンジェの…後輩くん。」


えっ…?




小さな声で呼ばれて振り返ったら
ロイヤルブルーのワンピースがよく似合う、
ユリさんが立っていた。


「ユリ…さん?」



「あ、えっとごめんなさい、
名前聞いたのに私…」


「いえ、
一度、それも短い時間
お会いしただけですから。

シム・チャンミン です。
こんにちは。」



「そうだ、チャンミンくんだ。

ごめんね…」




「いえ…」



こんなところで会っても特に話すこともないし、
もう立ち去りたいのに
じーっと顔を見られて居心地が悪い。


思わず俯き加減になると、
華奢な首元や細いわりに大きな胸元が目に入る。


欲情の対象としてではなく、
ソンジェヒョンの好みって
こーゆー人なんだな、という気持ちで
見てしまった。


俺みたいなゴツゴツしたカラダで、
どうやってこんな女性に勝てるというのか。






「チャンミンくん、本当肌、綺麗。
ねぇ、化粧水ってメンズ用?

どこの使ってるの?」



みつめられた後に
いきなり脈絡のない話で戸惑う。

そういやこの前も肌がどうって言ってたな…


「いえ、そんな…
冬は乾燥するから安いやつ使ってますけど
夏は何も。」





「えぇー羨ましい!

ってごめん、声大きくなっちゃった。」


思っていたより少し大きな声が出たらしく、
周りにペコっと頭を下げる姿は
初めて会った時より
そのあと何度も思い出した時より
なんだか可愛らしく思えた。





「変なこと聞いてごめんね、

エアコンのせいで肌の乾燥が
酷くて悩んでてつい…



それにしても、
私服だとスタイルの良さが余計際立つね。

チャンミンくんみたいな弟、理想だな。

自分の彼氏にさ、いや、今いないんだけど笑

チャンミンくんと一緒に歩いてるとこ見られて
アイツ誰だよ、とか誤解されて、
違うよ、弟だし!とか言ってみたい!

ってやば、私しゃべりすぎだよね。」




「いえ…」




妄想力が豊かですね、とは言えない。


 
「ふふ、微妙な顔してるー


そういえば、志望学部はどこなの?」




ようやくまともなこと聞かれた。



「ソンジェヒョンと同じところです。」




「じゃあ私も同じだ!
チャンミンくんが入ってきたら友達に
知り合いなんだーって自慢していい?」




「俺なんか自慢にならないですよ…」



「そんなことないよ!


そうだ、私と2人じゃ嫌だろうから
今度ソンジェも一緒に遊ぼうね。

単位取りやすい授業とか、教えるからね!

だめだ、
可愛い男の子に貢ぐ友達の気持ちが
わかる気がしてきた…


じゃあね、
あ、名前、覚えてくれててありがとうね。」




小声で色々と捲し立てた後、
小さく手を振ってユリさんは
レジへと向かっていった。















「誰、って聞いても?」



「わっ、ユノ!

ごめん、もう選んじゃった?」




ユリさんを見送って振り向くと
すぐ後ろにユノが立っていた。




「あぁ、うん。

チャンミンはなんだか楽しそうだったな。」



「楽し、くはないかな。

ごめん、これ買おうと思うんだけど
ちょっと待ってね。」


パラパラと確認して
塾の先生のおすすめとやらを買うことにした。


「楽しく、ない?」


参考書の話に釣られることなく、
もう一度、「なんで?」と聞かれた。


うーん、やっぱり誤魔化せないか。






「あの人、ユリさんって言うんだ。

ソンジェヒョンの好きな人。



まだソンジェヒョンの片想いかもだけど、
きっと…本気で好きな人。」



なんでか鋭かったユノの目が、見開かれた。



「…そう、なんだ。
ごめん、俺、問い詰めるような言い方…」



「ううん、いいんだ。

早くゲーセン行こ!

ユノと学校以外で会ったことないし、
遊ぶの楽しみにしてたんだ!

ユノ、ゲームできんの?」



俺がニヤっと笑うとユノも笑ってくれた。



「できるに決まってんじゃん!
チャンミンには勝てる気しないけど!」



参考書選んでたのなんか、ほんの数十分。

その日はゲーセンで遊んだり、
食べ放題のお店に入ったり、
あと、お店もぶらぶらして
久しぶりに楽しかった。














でも、ユリさんは有言実行な人だった。

ユノと遊んだ数日後には隣のヒョン経由で
ソンジェヒョンから連絡が来た。



「悪いな、ユリのお遊び付き合ってやって。
その日は全部、俺の奢りな?」


そう言われたら断れなかった。


だってソンジェヒョンに
頼まれごとなんかされたの初めてだったんだ。





 










これも過去作品を移行したいと思って
妄想を始めたお話です。
話の内容は全く違うのですが、
起こる出来事が同じところがあります。
残したいのはそこなのです。




そしてそして、拍手コメント?
ブログ拍手内のコメント?くださった方への返信、
未だにわかりません(・∀・)
でも読んでます、ありがたいです。
身に余るお言葉です…ありがとうございます。
情緒大波ですが、よろしくお願いします。
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