職場レンアイ 5



最寄駅から地下通路を使えば
雨の日でも傘いらずで
うちの会社の自社ビルまで辿り着く。

便利だけど
今日みたいな気持ちのいい春の朝は、
俺は地上を歩く。

なぜか早くに目が覚めて
いつもより2本も早い電車に乗ったことで、
道行く人もまばら。

早い時間特有の静けさが漂う
ビジネス街に

YH「あっ」

俺の声が小さく響いた。


最寄駅と会社の中間あたりにあるカフェから
シムがタンブラーを持って出てきたからだ。

もうこの時点で運命なんじゃないかと
思ったけど、昨日おそらく恋人とケンカ…
ではなくきっとあれは別れ話。

そう、恋人と別れたばかりのシムに
気軽には声を掛けられない。

そう思い、後ろからそっと歩こうと
早足で近づいたら、シムの後に続いて
カフェからもう1人、
よく知ってる奴が出てきた。


運は俺に味方してる。


YH「よぉ、スビン。
お前いつも朝こんなに早いのか?」

俺の同期でシムと同じ部署のスビンに
声をかけると前を歩くシムが
チラッとこちらを見て立ち止まったのを
視界の端に捉えた。


SB「ユノーーー!
久しぶりだな、
お前同期会もあんまり来ないしさー
でもこんな時間なら逢えるんだな!

俺は今日朝イチ会議があるからたまたま
早く出てきただけ…すっげぇ眠い…
お前こそ早いんだな、相変わらず忙しいのか?」


YH「あぁ。
え?いや、そうでもないよ、
昨日は早く上がれたし。」

シムが立ち止まってくれたことに
ソワソワして、悪いがスビンの話が
頭に入ってこない。


CM「スビンさん。
俺のこと放ったらかしですか?」


SB「あぁ、悪い悪い。
ユノ、こいつ俺と同じ部署の
シム・チャンミン。
ムカつくほど背も高いしイケメンだし
仕事も飲み込みが早い。
まぁ、よろしく頼むよ。」

CM「ムカつかれても困りますが。」

あ、れ?

紹介されたことで近づいてきて
おはようございます、と頭を下げたシムは
昨日見たか弱さはなくどっちかというと…
なんか淡々としてるっていうか、
堅いっていうか…

CM「シムと言います。
ご承知おきを。」

ご承知おき…

YH「あ、あぁ、顔は知ってるよ。
おはよう、国際業務部のチョン・ユンホだ。
よろしくな。」

CM「顔だけでも光栄です。」


……ま、まぁ俺、職場の先輩だし。
プライベートと見せる顔は違って当たり前か。


CM「スビンさん、
ユンホさんとご一緒されるなら
俺、先に行って準備進めておきます。」

YH「へ?」

タンブラーを持ってるのに器用に
90度近くまで頭を下げたあと、
シムはさっさと行ってしまった。

SB「あー。
えっと真面目っていうか堅いっていうか
冷めてるっていうか…でも良い奴なんだ。
可愛がってやってよ。」

…なんか想像と違ったけど
とりあえず顔見知りにはなれた。

お前に言われなくても可愛がるよ、
という言葉は飲み込んだ。




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