PATRON 1


俺なんか
吹いたら飛ぶような、ペラペラな存在だ。












「あぁそうだ、チャンミン。」



コトが終わったあと、
コイツの声を聞くだけで鳥肌が立つ。
早く帰ってくれないかな。


「はい。」


「明日の午後に迎えが来る。
そいつの指示に従え。」



「…はい。」




これがコイツとの最後の会話となった。




















翌日。





ガチャっと玄関の鍵が開く音がして
読んでいた本から顔を上げる。



俺なんかに
インターフォンを鳴らして
来訪を教える必要はないのだろう。



とりあえず立ち上がって待っていたら
小綺麗な格好をした若い男が入ってきた。


俺を見て、すこしだけ眉をひそめる。


「すいません。
勝手に解錠して入っていいと聞いていたので
ご不在なのかと。

貴方がチャンミンさんですか?」


謝られるとは思っていなくて、
返事がすこし遅れた。


「あ、あぁはい。」


「そうですか。
初めまして、シンと申します。

単刀直入に言いますと、
貴方のオーナーであったキム氏なんですが、
ご自身の会社の倒産手続きに入る予定で
いらっしゃいます。

ご存知…ではなかったですか?」


「会社の話は全く知りません。」


「…そうですか。


とりあえず、話を続けますね。

一般的に会社が倒産した場合に
残された有価証券など
いわゆる倒産品の正当な理由のない売却は
法律で禁止されています。

法的に縛られる前に売るのが得策と言えます。

というわけで、
このマンションも貴方も、
うちの社長が買い取りました。」



オーナー、ね。
物は言いようだな。
それにしても俺に有価証券ほどの価値、
あるのか?


「そう、ですか。」




「ご理解いただけましたか?」



「えぇ、まぁ。
で、僕は今からどうしたらいいでしょうか?
荷物はいつでも出ていけるように
まとめてあります。」



ふーん。

アイツ、会社ヤバかったんだ。
それを俺にいうのはプライドが許さなかったか。
何が迎えに来るやつの指示に従えだよ。

フフッと笑みが漏れた。
笑ったのは久しぶりだ。



「聡明でいらっしゃるようだ。

それでは、この部屋は一旦出ていただきます。

代わりの部屋は急な事だったので
ホテルになってしまい申し訳ないのですが…

今からでも移動は可能でしょうか?」







そんなわけで、あっという間に
俺は2年間過ごした部屋に別れを告げた。










パトロン…支援者、後ろ盾なんて意味だと
思っていただければ有り難いです。

よろしくお願いします。
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