PATRON 2



ここ…?



とりあえずの荷物だけ持って
クルマで連れてこられたホテルは
想像していたようなビジネスホテルではなく
いわゆる高級シティホテルだった。

しかも地下の駐車場から乗り込んだ
エレベーターで、シンと名乗った男は
レセプションのある階ではなく
上層階のボタンを押した。



  

「申し訳ないですが、
社長が急な出張中で帰国は3日後となります。

それまでこちらでお過ごしいただくことに
なりますが、くれぐれもこの部屋からは
出ることのないようにお願い致します。

食事はルームサービスを。

必要なものはこちらで用意しておりますが、
何か不便があれば先ほど教えた私の連絡先へ
お願いします。

3日後、社長がこちらでお逢いになるのか、
別の場所に出向いていただくことになるかは
また追って連絡いたしますので、
携帯の電源だけは入れておいてください。

それでは、失礼致します。」  




よくもまぁそんなに淀みなく話せるな…
軽く頭を下げて部屋から出ていく男に
そんな感想を抱いた。





「はぁっ。」



与えられた部屋はどう考えてもランクが高い。

レセプションを通らなかったのは、
先にチェックインしていたからか、
それとも年間契約でもしているのか。


奥の部屋へと進み、大きなベッドに腰掛けた。



次の飼い主はどんな奴なんだろう。
このご時世に短期間とはいえ、
俺なんかにこんな部屋を与えるなんて
相当羽振りがいいよな。

3日後、か。


ベッドに横たわって目を閉じた。















ハタチのころ、
バイト先の先輩に無理やり連れて行かれた
ホストクラブ。

オトコなのにホストクラブ?と思ったけれど
今思えば俺の性癖がバレていたんだろう。
いいカモだったんだな、要は。


たいした恋愛もしてこなかった俺は
あっという間に1人のホストに
のめり込んでしまった。 


それからは、貢いで貢いで…
典型的な破滅への道をまっしぐら。


たまたまその店のオーナーだというキムに
気に入られたことで
今でも五体満足で息はしているけど、
ただ、それだけの日々。


飼い主が変わったところで何も変わらない。
2年間、カラダを使っても利子を返すので
精一杯だった借金は、まだまだ残っている。












目が覚めたら窓の外には
見たこともないような夜景。

一瞬で今自分が置かれた状況を思い出した。


隣の部屋まで戻って、
ルームサービス表を手に取る。


「まぁ、予想はしてたけど…」

値段に気後れするけれど、
生きているだけで腹は減る。

軟禁されてるんだし仕方ないって
割り切って食べたいものを頼み、
来るまでにシャワーをあびようとして、 
なんとなく開けた洗面所の棚。

そこには男性用の下着やシャツが入っていた。

慌てて部屋に戻り、
ウォークインクローゼットを開けると
3日分程度の洋服に、
本やゲーム機まで入っていた。


…新しい飼い主の指示なのか
シン、といういかにも仕事ができそうな秘書の
独断なのか知らないけれど好待遇すぎて
怖くなった。

怖くてもここで待つ以外の選択肢は
ないんだけど。





よろしくお願いします。
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