PATRON 5


午後13時ぴったりに
今度はちゃんとインターフォンが鳴った。


「チャンミンさん、すいません。
今から荷造りを…



あぁ、もうお済みでしたか。」




家に戻ったわけではないようだ。
相変わらずのラフな格好で入ってきたシンさんは
予想通りの言葉を発した。




さっきチョン社長がいた時より
表情も言葉も堅いのが少し気になった。
普通、逆じゃないか?

まあ、いいんだけど。



「あ、はい。」



「ほんとに…

優秀でいらっしゃいますね。」




「いえ…あの、こんな良い部屋に3日も
ありがとうございました。」



急に連れ出されたのはこっちだけど、
どう考えても好待遇だったので
とりあえずお礼を言う。



「こちらこそ、急に軟禁するような真似を
申し訳ございませんでした。」






シンさんに誘導されて
俺は3日ぶりに部屋の外に出て、
来た時と同じように駐車場まで一気に降りる。




行き先も告げることなく動き出した車に、
チョン社長はいない。


これからどこにって…聞いてもいいんだろうか。



「あぁ。

これからどこに連れて行かれるんだって
思いますよね。
すいません、ちょっと考え事をしていて。」


後部座席に座った俺を
バックミラーでチラッと確認したシンさんが
不意に思い出したかのように
話しかけてきた。


「教えていただいてもいいなら…」


「社長のご自宅ですよ。」



えっ?



思わず目を見開く。


「さすがに予想外でしたか。」



自宅で抱くんだろうか?

独身…なんだろう。
確かにまだ30手前って感じだった。
一人暮らしの家に俺を入れるのか?



「あ、いえ…少し驚きましたが。
あの、そのあとは…?」



言葉の中に抱かれた後は?といった
ニュアンスを込めて聞いてみる。



「チャンミンさん。
詳しくは社長から話があります。

私もまだまだ社長の考えている事は
わからなくて。

申し訳ございません。」


バックミラー越しに見るシンさんは
少し口角が上がっていて、
社長のことをわからないって言ってるわりには
嬉しそうだな、と思った。

















人間って…
自分の生きてきた世界以上のモノは
想像できないんだろうか。


社長の自宅は、
俺が想像していたより
遥かに洗練された空間だった。


そもそも高層マンションを想像していた俺の
頭ではこんな品の良い低層マンションの
ワンフロア全てが自宅だなんて、
考えつくはずがない。



「どうしたの?入って。」


「あ、はい。
お邪魔、します。」


出迎えてくれたチョン社長に促され、
中に入る。


玄関ドアが閉まる瞬間、
それでは失礼します、という
シンさんの声が聞こえた。






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