PATRON 6


え?
シンさん帰るの?







てっきり一緒に部屋に入るもんだと…
でもまぁ、やっぱりそーゆことか。



とっくに閉じられたドアを振り返りながら
ぼんやりとそう思った。










「チャンミン、どうした?」


「いえ、なんでもありません。」


奥から聞こえる声に返事をして、
意外と短い廊下を声のする方に向かって進んだ。









「うっわ…」


広いリビングにダイニング、キッチンは…
見えないけどダイニングの奥か。

リビングには大きな窓、
その先には広いベランダが見える。



…そっか、一つ一つの部屋がすごく広くて
部屋数が少ないんだ。

思わず感嘆の声が漏れた。






「物がないと、なかなか広いだろ。

出張中にハウスキーパーさんが入ったか、
シンが掃除したか、のどっちか。

俺は全然片付けられないから
いつも物が散乱しててさ。


チャンミンラッキーだったな、
今日が一番綺麗な状態だ。」



ダイニングの奥から
ペットボトルの水を持って現れたチョン社長が
笑う。

やっぱり奥がキッチンか。


「何飲む?」


「あ、すいません。

あの、じゃあお水をいただけますか?」


「ん、どーぞ。」

2本持ってたうちの1本をこちらに投げてよこす。



マンションに到着した辺りから、
喉はカラカラだ。







見たこともないシャレたペットボトルを開け、
飲みながら考える。


これ飲み終わったら、シャワーかな?
まだ昼だけど…

いくらなんでもこんな明るいうちからはない?
いや、でもアイツはそんなこと関係なしだった。






…わからないことは聞くしかない。


俺は、俺自身のものじゃなくて、
チョン社長のものだ。









「あの、チョン社長」


「なに?」


「お水、ご馳走様でした。

俺…あ、いや、私はこれから、
どうやって返済していけばいいんでしょうか?」





「ええっ?

ははっ、チャンミン、やっぱ真面目なんだな。」



ダイニングの壁にもたれたチョン社長に
柔らかい笑顔で褒められて
一瞬で顔が真っ赤になった。





でも、俺は真面目なんかじゃない。
真面目な奴は、あんなことで大学を…



「そんなことっ、ありません。」

俯いた俺が再び顔を上げるのは
その後すぐ。








「明日から大学に復学出来るって。
うちの秘書、仕事が早いよな。

でもさ、こっからだと乗り換えなし10分で
チャンミンの通ってたキャンパスだろ?


じゃあ、
ここに住んでここから通えばいいじゃん、

ってところまでは考えが及ばないところが
まだまだシンの甘いところだよなー。」







俺、ここに住むのか。


え、その前なんて?

大学?




「でさ、ほんっとにごめんなんだけど
ついさっき店の方に業者が来たらしくってさ。

明日って言ってたと思うんだけどさー
シンも何も言ってなかったし。

でもせっかく来てくれたから行ってくるよ。

あ、シャワー浴びたら出かけるから、
適当になんでも使っていいから。
もちろんなんでも食べていいし、カギはえっと…
このカードね。

わかんないことあったらシンに聞いて?」





俺が唖然としている間に
バスルームらしきドアの開く音がして…

バタンと閉まる音がした。


シャワー?俺も、浴びた方がいいのか?


シャワーって単語しか聞き取れていなかった。
だって他のことはさ、あまりにも俺にとって
夢のようなことだったから。






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