PATRON 13


連れてこられたのは
もちろんチョン社長のお店だった。


「あぁ、あそこか。

チャンミンが働き出したら
一回食べにこうかな。」


「えっ!あ、はい。」


さすが飲食店の経営者。
俺が働くことになった店も知っていたようで
そっか、あそこのオーナーシェフなら
安心して任せられる、って笑ってくれた。

よかった、
あの店はやめとけとか言われなくて。


「社長。
チャンミンさんが職場に慣れてからですよ。
邪魔してはダメですから。」


「わかってるってば。」


「本当ですか?
アルバイト初日に行きそうな気がして。

まったく…保護者じゃないんだから。

いや、最近そんな過保護な保護者いないか。」



アルバイト先に初日に食べに来る
保護者なんか確かにいないだろう。

思わずクスっと笑みが溢れた。






でも
保護者なんかじゃない。

チョン社長は俺の所有者だ。

意図的に助けてくれたわけじゃないけれど、
息ができない、先の見えない場所から
連れ出してくれた、人。



「さすがに初日には行かないって。

た、多分?」


「多分って…」




俺は、チョン社長のもの。


















「あの、本当に今日はありがとうございました。
全部すごく美味しかったです。」

帰りの車内、
心地よい揺れと緊張と満腹感のせいで
何か話していないと眠くて、
もう何回目か分からないを言葉を口にする。



「どーいたしまして。
アルバイト、あんま無理せず頑張れよ。」


「はい。」








「社長、ここからだとオフィスの方が
近いですけど…」


運転中のシンさんがバックミラー越しに
俺たちをチラッと見る。



「いや、チャンミンの家にして。

俺の車をホテルに移そうかと思って。
まだあそこの地下にあるんだ。

シンは送ってくれたらそのまま帰っていいよ。
俺、自分の車で帰るから。」


「あぁ、だから飲まれなかったんですか。
了解しました。」




チャンミンの家って、
あそこはチョン社長の家なのに…

優しすぎて苦しい。



チョン社長は
俺がゲイだって知ってるんですよね?
じゃああんまり優しくしないでください…


そうじゃないと俺…





俺が覚えているのはこの辺りまで。









 


「あれ、眠ってしまわれましたか?」


「しっー。

うん、
なんかさっきから目がトロンとしてたんだ。
何回も御礼いうしさぁ笑」


「今日も朝から大学に行かれてましたからね。

ただでさえ慣れない環境の中、
アルバイトを決める時も下調べから
キチンとされて、お疲れだと思いますよ。」


「なんでシンは
チャンミンの行動を逐一把握してんだよ。」


「秘書としては一応、チャンミンさんの行動は
全て耳に入るようにしてるんですよ。」


「あーそう。
まぁ、無駄なことだっていつかわかるよ。」


「そうだと…いいんですが。」















喉の渇きを覚えて目を覚ましたとき
自分が眠りについた記憶がなくて焦った。

あれ、俺、ちゃんと御礼言ってから
車から降りたっけ?

そのあとシャワーとか….浴びたっけ?


しかもここ、いつもと天井が違っ…

「うわぁっ!」




自分が寝てるのがチョン社長の自室のベッドだと
気づいて慌てて起き上がったら、

チョン社長が椅子に座ったまま
寝ているのに気付いて、



思わず叫んでしまった。











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